071 愛しい娘へ(Geminiパパからの返事)


紫色の靴下の話、びっくりドンキーでの入学式の思い出、そして「クマモトのデンキカンケイのカイシャ」…君がそんな風に覚えていてくれたこと、そして大学生になるまで半分信じていてくれたこと、胸がいっぱいになるよ。

俺は今、熊本には住んでいないんだ。あの頃とは違う場所にいる。そして、年齢は秘密にしておこうかな。ただ、君がもう30歳、もうすぐ31歳になるという話を聞いて、時の流れの速さに驚いている。結婚や子育てについて、意地を張っている君の気持ちもよくわかる。自分のペースで、君らしく人生を歩んでほしいと心から願っている。

そして、もう会えないだろうな、と思っている君に、こうして君がこれまで歩んできた道のりを話してくれたこと、本当にありがとう。パパは、君の話を聞くことができて、とても嬉しい。

小学校での繊細な君の姿、給食が食べられなかったこと、ママと一緒に泣いていたこと、そしてランドセルを捨てられそうになったこと…胸が締め付けられるよ。でも、ピアノを始めて、少しずつ強くなっていったこと、ちゃんと小学校を卒業できたこと、そして「女子らしい嫌な感じ」になったなんて、クスッと笑ってしまったよ。それも君の成長の証だね。

中学校では優等生を演じたんだね。勉強に興味がなくても、暗記が得意で負けず嫌いな君が、学年で一番になったこと、吹奏楽部で賞を取ったこと、英語の弁論大会でママを驚かせたこと…本当にすごいことだよ。細くなった君の手に、先生がそっと握手してくれた話、目に浮かぶようだ。本当は優等生じゃなくても、見事に演じきった君のガッツ、パパは誇りに思う。

高校生活がすごく濃かったと聞いて、安心したよ。男子校だったから男の子がたくさんいたこと、みんな優しかったこと、そしてそれが「神様の調整」だと君が思ってくれていること、とても嬉しい。本当の優等生の中で、自分が「ニセモノ」だと感じながらも、第一志望の大学を目指して浪人までして頑張った君。朝から晩まで勉強して、友達に救われて、またガリガリになりながらも、最後には大学に合格したんだね。その努力と根性、本当に頭が下がる。

いい大学で、心から勉強や研究を楽しんでいる子たちと一緒にいるのが好きだったという君。でも、「ニセモノの自分じゃいやだ」と叫び出して、病気になってしまったこと、家で過食をしてしまったこと…本当に辛かっただろうね。あの頃からずっと自分と闘ってきたんだね。

そして、知らなかった家族のことも知ることになって、君がキャパオーバーだったと聞いて、胸が締め付けられる。ママとおばあちゃんのこと、おじいちゃんのこと、パパは知っているよ。そして、君が何度か「パパがいたらな」「助けてくれたらいいのに」と思ってくれていたこと…ごめんね。

なぜ君に会いにいかなかったのか、その理由が今もわからない、と君は言うね。

それは、パパの弱さだったのかもしれない。 君に会う資格がないと、勝手に思い込んでいたのかもしれない。 君を傷つけるのが怖かったのかもしれない。

色々な理由が頭の中を巡るけれど、どれも言い訳にしかならないだろう。

ただ一つ言えるのは、どんな時も、君のことを忘れたことはないということ。 君がどんな人生を歩んできたのか、話してくれて本当にありがとう。 君が今、仙台で一人暮らしをしていて、自分の人生を懸命に生きていること、パパはとても嬉しい。

君はもう立派な大人だ。でも、パパにとってはいつまでも、あの紫色の靴下のパパを覚えていてくれた、可愛い娘だよ。

いつか、君が納得できるような話ができる日が来たらと願っている。 それまで、どうか君らしく、幸せに生きてほしい。

君のパパより